踊協力牧師メッセージ

「過去に目を閉ざす者は現在が見えなくなる」

今年6月23日、私はこの日沖縄にいた。それは、太平洋戦争末期の沖縄戦で犠牲になった20万人を超える犠牲者に思いを寄せ、ふたたび戦争を起こさせない誓いを立てる「慰霊の日」であった。

日本バプテスト女性連合では、この日を6・23「沖縄(命(ぬち)どう宝(たから))の日」と定め、「沖縄6.23学習ツアー」を主催し続け、今年が10回目であった。2年前にも前職場での沖縄平和学習に参加し、それまでの自分の無知を恥じたが、今回、沖縄の人々が受けた苦しみと悲しみを、少しでも自分の痛みとして感じられるようになりたいと思い、参加した。

今年の学習の中心は、渡嘉敷島沖縄戦追体験と「集団自決」の証言者である金城重明先生(那覇中央教会名誉牧師)の講演であった。先生の言葉一つ一つに、3年前のルワンダ学習ツアーでの体験がよみがえった。

大義名分がつくりあげられ、破壊と死の恐怖と共に繰り返し流布された時、人は自分の命と家族を守るために相手の命を奪う。

冒頭の言葉は、ドイツの第6代連邦大統領ヴァイツゼッガーが、敗戦40周年の連邦議会で行った演説の一部である。今私たちの身近では、過去の実態をなかったものと主張する声や動きもある。どんなに悲惨でも、愚かしいことであっても、事実を直視しなければ、謝罪も、赦しも生まれてこない。平和への希望も生まれない。(前田三枝子)

 

 

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