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Voice to Voice 「『子育て』から考えるとき」

Voice to Voice 「『子育て』から考えるとき」 久留米教会 踊 夢希

「教会での子育てはいいよ!」

わたしの結婚祝いのメッセージカードに母教会の一人の姉妹が書いてくださったことばです。2011年に息子を授かり子育て真っ最中の今、わたしは4年前にいただいたこのことばを深く味わう日々を送っています。

 

子育ては大変。子どもが生まれる前にも、それは理解しているつもりでした。しかし実際に自分が子どもを産み、日々の子育てを経験する中でその大変さが現実問題として日々迫ってきます。

様々な場面で自分の時間を犠牲にしなければならないこと、時には自分が計画していた通りにスケジュールを進められないことへのストレスとそれに伴う自己嫌悪、またどこかで「いいお母さんにならなければ」と思ってしまい自分を追い詰めてしまったり…。一つひとつの問題を考える時、自分の限界と弱さに直面させられます。またわたしは教会主事として仕えていますが、子育てと教会での働きがどうしても兼ね合わない時、自分の献身者としての召命感と親としての役割との間に葛藤を覚えることもあります。そして何より、礼拝に出席できないことは一人のクリスチャンとしてとても辛いことです。

そのような中で、教会の方々が「子どもがいると大変やもんね」と言ってくださったり、わたしがどうしても奉仕をしなければならない時には「ちょっと面倒みておこうか?」と声をかけてくださることは本当に感謝なことです。その一言で「自分も頼っていいんだ」と肩の荷が軽くなります。

 

久留米教会は大変嬉しいことに、今小さな子どもたちが増えています。それに伴って教会では、様々なことが起こっています。

一つは、託児クラスの設置です。以前は嬰児科として主日礼拝の間クラスが持たれていたようですが、小さな子どもがいなくなり長く無くなったままでした。しかし、昨年「子どもを連れた方が落ち着いて礼拝をささげられるように」との声が起こり、託児クラスが復活、今年度も継続して行われています。この託児クラスの設置について、教会では何度も話し合いを重ねました。それは、託児という一つの事柄がそれのみで完結するものではなく、久留米教会がどのような礼拝をするのかという問いに発展していったからです。それは「子どもと共なることを大切にする礼拝」なのか、あるいは「子どもと大人がそれぞれにふさわしい別の形で献げる礼拝」なのかということです。実に様々な意見が交わされ、託児クラスが設置された今も、長期的な課題として教会の中で考え続けています。

二つ目は、分級の「お母さんクラス」のスタートです。久留米教会では礼拝の後に分級が持たれています。そのため、子どもはお昼ご飯の時間まで待ち切れず、子どもにお弁当を食べさせているとお母さんたちは結局分級に出ることができない、ということが起こっていました。そこで、子どもにお昼ご飯を食べさせながら行う「お母さんクラス」が今年度からスタートしました。内容は、まず子どもたちにお昼ご飯を食べさせながら、日々の子育てについての分かち合いをします。その後、クリスチャンの方が書いたコラム集のような小さな育児書を皆で読んでいます。わたしはこのクラスのリーダーをしていますが、わたし自身育児の専門家でもなく、子育てに悪戦苦闘している当事者ですから、メンバーの一人として、分かち合いの中で先輩ママに色んなことを教わり、小さな本から色んなヒントをもらっています。

これらの活動は、どちらも「子ども」または「子どもをもつお母さん」が教会の中で安心して居られる「居場所」が与えられた出来事だったと思います。また、教会の方々からの優しい声かけは、神さまがわたしたち一人ひとりを愛して、どんなときにも受け止めてくださるように、どんな状況の中にあっても「教会にわたしを受け入れてくれる居場所がある」ということを教えてくれたように思います。そんな安心感が子育てに悩む者に、また教会で育つ子どもたちに、愛される喜びと一歩を歩み出す力を与えてくれます。そしてよくよく考えれば、それは子どもたちやその親だけではなく、教会に集うすべての人にとっても同じ事が言えるのだと気付かされます。

「子育て」という事柄は、一見一部の当事者にしか関係のないことのように思われます。しかし、その小さな事柄を考える事が、そのまま教会の在り方・どんな教会になりたいのかというヴィジョンを考えることに繋がっていくということを、これらの経験を通して感じています。

わたし自身も、子育て真っ最中の当事者として、また教会のメンバーの一人として「教会での子育てはいいよ!」とより自信をもって言えるよう考え続け、教会がすべての人の居場所として成長していくことができるように祈っていきたいと思います。                                           (日本バプテスト女性連合機関紙『世の光』7月号より)

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