メッセージ

使徒言行録があって良かった

「使徒言行録があって良かった」

使徒言行録は私の若い頃から好きな文書の一つです。そこに記された初代教会の美しい調和こそ現代に生きる教会の最良の手本だと思っていました。

ところが神学部に学び始めたある日、私は神学者オスカー・クルマンの『イエスと当時の革命家たち』、その中の「初代教会の内部の不一致」という章を読んで愕然としました。「このエルサレム教会は、悲劇的な論争の場所でもあった。地上の教会は決して完全な教会ではなかったのである」。

なぜ著者ルカは初代教会を調和ある美しい姿に描いたのでしょうか。私たちを欺いたのでしょうか。神学者ゲルト・タイセンはそれは著者の歴史観によるものとしています。この世界では美しい出来事やそうでない出来事、一見マイナスの出来事が生じます。著者はそれを〈今〉という時点だけで判断せず、歴史の流れの中で見ようとしているのです。そうすると否定的に思える出来事が実は福音宣教の大きな推進力となっていることが多いのです。

使徒言行録は信仰に立つ長期的な歴史の見方を私たちに教えているのです。

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