巻頭言「イエス、焼き魚を食べる」

 福音書を読んでいて、主イエスのユーモアに出会い思わずにっこりしたくなる箇所があります。例えばマタイ17:24~27。エルサレム神殿に献げるお金はシケル銀貨と決まっていましたが、それについて弟子たちが問うた時、主イエスは次のように言われました。

  湖に行って釣りをしなさい。最初に釣れた魚を取って口を開けると、銀貨が 
  
一枚見つかるはずだ。それを取って、わたしとあなたの分として納めなさ
  い。

 ルカ24:36以降もそうです。復活された主イエスが弟子たちにご自身を現された時、弟子たちは亡霊を見ているのだと思いました。そんな弟子たちに主はご自身の手足をお示しになり、その上「ここに何か食べ物があるか」と尋ね、弟子たちが差し出した焼き魚の一切れをお食べになったのです。それは後に「ペトロの魚」と呼ばれるクロズズメダイだったかもしれません。香ばしい魚の一片を美味しそうに食べる主の明るい顔を想像します。そこまでして弟子たちにまさしくご自身であることを示そうとされたのです。

 主は私たちをも不信のまま放置しようとはされません。そんな主イエスの優しさに触れる時、信じる心が強くされるのを感じます。(踊)