コリントの信徒への手紙Ⅰはパウロが第3回伝道旅行の途次、紀元55年頃エフェソからコリント教会に宛てて書いた手紙であり、教会の在り方について指導した書簡です。
パウロは「最も厳格な意味での現実主義者」であり、教会が置かれている現実を直視する人です。厳しい現実の中でも教会がなお美しく調和を保ち、力強く生きるための「最高の道」として「愛」を教えたのです。
「愛」という箇所にイエス・キリストという言葉を入れて読むとよく理解できると言われますが、その通りです。しかし同時にそこに私たちの名前も入れて読むべきです。なぜなら私たちはキリストの愛を信じ、愛を目指して生きる者だからです。
7節に「愛はすべてを信じ」とあります。日々の生活において生じる様々な困難は、時に私たちの信仰を蝕みます。私たちにとって信仰は根源的なもので、信仰が失われると希望も愛も一切だめになります。だからこそパウロは私たちが決して信仰を失わないよう、どんな困難の中にも神の配慮があると信じて生きるように心から励ましたのです。