ナチが共産主義者を襲ったとき、自分はやや不安になった。
けれども結局自分は共産主義者でなかったので何もしなかった。
それからナチは社会主義者を攻撃した。自分の不安はやや増大した。
けれども依然として自分は社会主義者ではなかった。そこでやはり何もしなかった。
それから学校が、新聞が、ユダヤ人が、というふうに次々と攻撃の手が加わり、
そのたびに自分の不安は増大したが、なお何事も行わなかった。
さてそれからナチは教会を攻撃した。そうして自分はまさに教会の人間であった。
そこで自分は何事かをした。しかしそのときにはすでに手遅れであった。
マルティン・二―メラー牧師(1892~1984)の詩。ドイツ教会闘争の指導者として1934年夏から敗戦まで強制収容所に収容された。(『信徒の友』2017年8月号掲載)