フランス人経済学者トマ・ピケティ氏が書いた『21世紀の資本論』が今、米国をはじめ世界中で注目を集め、すごい勢いで売れています。英訳版で700ページ程の分厚い経済書としては異例の出来事です。
ピケティ氏は過去300年にわたる所得と富を巡る進展を分析し、将来において富の集中と格差の拡大がより一層深刻な事態となること明らかにしています。
確かに、アメリカを例にとるならば、個人年収が2000億円以上の投機家達と5000万人以上の貧困層(年収200万円以下)が共存する社会は明らかに異常です。
1905年にマックス・ウェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で、資本主義の原点に、ピューリタンの天職意識と禁欲的性格を見出しました。資本主義を発展させてきたものは、節度ある向上心と競争を通じた自己研鑽、そして質素倹約を旨とする合理性であったと分析しました。
しかし、今、私達が目撃しているのは、その倫理的美徳が完全に消え、強欲なカジノ資本主義に堕してしまった世界であります。
聖書は富の力に頼ることの危うさを警告しています。今こそ私達はその教えを心に刻む時であると思います。(相模裕一)