宗教改革者ルターは徹底した聖書の学びをしました。聖書の言葉の行間注と欄外注を「グロッセ」と言い、まとまった講解を「スコリエ」と言います。彼の『ローマ書講義』を読むと、聖書の言葉に集中しているルターの息遣いが伝わってくるような気がします。
ローマ9:15の御言葉は次のとおりです。神はモーセに「わたしは自分が憐れもうと思う者を憐れみ、慈しもうと思う者を慈しむ」と言っておられます。
この御言葉についてのルターのグロッセが私は心に強く響きました。「自分があわれむ者をあわれみ、すなわちちょうどよい時に、よい結果をもたらすように恵みを与える。永遠の昔から、恵みを与えようと決めていた。いつくしむ者にいつくしみを示す。ちょうどよい時に、よい結果をもたらすように罪を赦し、免じる。永遠の昔から私は免じ、赦してきた。」
神の憐れみと慈しみは気まぐれな思いつきによるものでなく、熟慮に基づいてなされるものです。そこに真の安心があります。