草薙龍瞬という僧侶が書かれた『反応しない練習』という本があります。「ブッダの教えとは、心のムダな反応を止めることで、いっさいの悩み・苦しみを抜ける方法のことです」。確かに現代は情報過多の時代であり、一歩家を出るとありとあらゆる音に溢れ、そのほとんどは騒音です。そんなものにいちいち反応していたら身も心も持つはずがありません。確かに過度に反応しないことは、私たちが安らかに生きる知恵でしょう。
ではキリストはどう教えているのでしょう。マタイ福音書5~7章の「山上の説教」の中でキリストは「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい」と教えられました。「何よりもまず」(プロートス)とは「本来多数の中で第一の、最初の」という意味です。私たちの生活の中心に神を迎えて、神との交わりの時を丁寧に持つところから真の平安が始まると教えられたのです。
5世紀の教会の指導者アウグスティヌスは「神よ、あなたは私たちを、ご自分に向けてお造りになりました。ですから私たちの心は、あなたのうちに憩うまで、安らぎを得ることができないのです」と言っています。