「聖書と私」
私の父は牧師でしたから幼い頃から聖書が身近にありました。けれども聖書を自覚的に読み出したのは18才、大学受験に失敗した時でした。初めて自分の意志で聖書を開き、大学生時代に本気で読みました。友人はそんな私に「聖書なんか読んでると太宰治みたいに死にたくなるぞ」とからかいました。しかし聖書は私に悲観的な考えではなく、生きる喜びと力を与えました。
キリスト教信仰詩人八木重吉の言葉です。私は、一人でも聖書を読む人が多ければよいと思います。私は、だんだん、自分の感想、考えを人に語ることを恐れるようになってゆきます。静かな心になって見ると、自分には良い考えが何もないことがはっきり分かってくるからです。それで私は、人と論ずることがありません。ただ聖書に、私よりずっとよいことが書いてあるから見て下さいとだけ云って黙ってしまいます。
私もまったく同感です。聖書は私たちに深い洞察と確かな判断力、勇気ある決断力、大胆に生きる力を与える書物なのです。