申命記は、エジプトで奴隷状況にあったイスラエルの民を約束の地へと導き出した指導者モーセの遺言とも言うべき文書です。
あなたの神、主が導かれたこの四十年の荒れ野の旅を思い起こしなさい。(申命記8:2)
荒野の旅は厳しいものでした。しかしそこで民は数えきれないほどの恵みを経験し、神の十戒を精神的な拠り所として育っていったのです。モーセはこの恵みを常に思い出すようにと勧めます。それが今を生きる原動力なのです。
もう一つは彼らがやがて住むことになるカナンの地への希望です。この希望がもう一つの原動力となっているのです。
主はあなたを良い土地に導き入れようとしておられる。(申命記8:7)
宗教改革者ルターはこう言いました。「この世を動かす力は希望です。やがて成長して新しい種子が得られるという希望がなければ、農夫は畑に種をまかない。…利益が得られるというが希望がなければ、商人は商売に取り掛かれない。」。
恵みの思い出と将来への希望、この二つがイスラエルの民の原動力となったのです。