西南学院大学神学部で教えておられた天野有先生が食道がんのために召されたのは2018年10月17日、享年62才でした。カール・バルトの研究者として次々翻訳出版しておられました。
天野先生の最後の文章「カール・バルトの説教」が雑誌「説教黙想アレテイア」(2018年、第102号)に掲載されました。先生が最後まで繰り返し読み、黙想したのは詩編68編20節のみ言葉であり、それについてのバルトの説教でした。「日々(ひごと)に主はほむべきかな! われらの助けでいます神がわれらを負い給う」。この聖句を闘病中の自分はどう受け止めることができるか、どのような作用を及ぼすのか「実験してみよう」と思われたのです。
「日々(ひごと)に主はほむべきかな!」。私たちがこのみ言葉を唱和する時、私たちはその真理の中に歩み入り、その事実の中にいることになると言われます。
「われらの助けでいます主イエスさま」。天野先生は時に「わが助けである主イエスさまがわれを負いたもう」と口ずさみました。それも確かに真実ですが、「われらの助け」の方がより適切だと思われたとあります。なぜなら主イエスさまは先生自身を、奥様や子供さんを、そして信仰の諸兄姉を日々に負い、支え、救いたもう方だからでした。(踊)