「イエスは黙り続けておられた。大祭司は言った。『生ける神に誓って我々に答えよ。お前は神の子、メシアなのか。』」(マタイ26:63)
「お前は神の子、救い主なのか」。それまで沈黙しておられた主が答えられます。「それはあなたが言ったことです」。不思議な答えです。その意味は「あなたがそう思っているから、そう言ったのだろう」であり、同時に、相手の言葉を用いての承認です。語るべき時に沈黙するのは臆病、この時の主の返答こそ真の勇気。
(下の絵はジオットの「祭司の前のキリスト」(1302-08、フレスコ、パドヴァ、スクロベーニ礼拝堂、『アートバイブル』より)