ラファエロの『キリストの変容』を観る

聖書をテーマにした絵画には画家の聖書解釈が表れています。ラファエロの遺作「キリストの変容」はマルコ九・二~二九に基づいて描かれたものです。

絵の上半分はキリストの変容。イエスを真ん中に左に十戒を持つモーセ、右に預言書を持つエリヤ。彼らは空中で語り合っていまう。足下にはペトロ、ヤコブ、ヨハネが地面にひれ伏す姿で描かれています。

絵の下半分の右側には汚れた霊に苦しめられ白目をむいている少年、左側には癒そうにもどうにもできない九人の弟子たち。少年を後ろから抱えているのは父親でしょうか、弟子たちの無能さに驚きの目を見開いています。その前にいる女性の目は厳しく咎めています。

この絵画で注目したいことが二つあります。一つは困惑している弟子たちの一人が絵の上半分の、主イエスを指さし、「主が来てくだされば…」と力説しているように思えます。もう一つは、上半分の絵の左側に描かれている二人の人物。一人は両手を広げ、一人は手を合わせています。ラファエロはそれは自分であり、この絵を見る人だと言いたいのではないでしょうか。