巻頭言「神の箱とともに」

 私が小学生の頃、牧師の父が教会学校で話してくれる聖書物語に心がわくわくしたものです。例えば出エジプト記ではファラオとモーセの対決、葦の海の奇跡、ヨシュアたちによるエリコ陥落、そして少年ダビデと巨人ゴリアテの戦い…。それはゲームに興じる現代の多くの子どもたちの喜び以上だったかもしれません。

 ヨシュアが率いていたのは弱小の民です。一方エリコは強固な城塞都市です。圧倒的な武力の差がありました。聖書の著者は、この勝負は武力によるものではなく、信仰によることを告げようとしているのです。神の作戦は、十戒の入った神の箱を祭司が担い、これを角笛を吹く七人の祭司が先導、神の箱の前後を民が無言で行進、一日に一周、それを六日間、七日目は七周、その後角笛の合図で鬨の声を上げるというものでした。

 これを城壁の上から見ていたエリコの住民からは嘲笑の声、イスラエルの民は角笛の響きの中を無言で行進。やがて日を追うごとにエリコの住民の嘲笑は不安と恐れに変わり、イスラエルの民の心には神への強い信頼が生じてきたのです。そして遂に鬨の声と共に崩壊する城壁。イスラエルの民は神の約束の実現を目撃したのです。(踊)