ルカ福音書と使徒言行録の著者は「ルカ」です。彼が福音書を書いたのは紀元80年代、続いて使徒言行録を書いたのは90年代だと言われています。
ルカの信仰と神学とはどのようなものでしょうか。ルカは歴史を分けて理解する傾向があります。神学者コンツェルマンは『時の中心』という書物の中で、ルカはイエスを「時の中心」とし、それに先立つ「イスラエルの時」、弟子たちが活躍する「教会の時」に分けて理解したと指摘しています。
ルカには教会の働きを調和的に描く傾向があります。それは彼が都合の悪いことには目を閉じ、良いことにだけを描いたからではありません。彼は今の出来事だけを見て判断するのではなく、全ての出来事を神の支配する時の流れの中で見ていたからです。今は逆境だと思える時があります。しかし後になってみると、そのことが大きな発展のきっかけとなる事実を知っていたのです。
例えばステファノたち七人が選ばれたのも、実は教会内のもめごとが原因でした。しかしこの七人の執事たちの働きによって初代教会は整えられ驚くべき発展を遂げたのです。
私たちの人生も同じでしょう。今だけに目を留める生き方から長い目で見る生き方への転換が必要だと思います。