BLOG

巻頭言「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ」

 十字架上で主イエスの口から洩れた言葉は七つ、その一つが「エロイ、エロ、レマ、サバクタニ」(マルコ15:34)です。マタイ27:46では「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」となっています。だから十字架の傍にいた人々は、「エロイ」「エリ」という言葉を聞いて預言者エリヤの助けを求めていると思ったのです。

巻頭言「神の愛と人の罪」2021.3.21

    讃美歌21-300番の歌詞に心を惹かれます。  十字架の上に われはあおぐ、わがため悩める 神のみ子を。  たえにも貴き 神の愛よ、はかりも知られぬ 人の罪よ。 神学者アリスター・マクグラスは、十字架はレンズのようだと言います。それは人間のどうしようもない罪を明らかにすると同時に

「真理と自由」

 ヨハネ福音書を読むと、「わたしは…である」という特徴的な言葉が度々出てきます。神学者ゲルト・タイセンは『新約聖書 歴史・文学・宗教』の中で、ヨハネ福音書は「キリスト」や「神の子」のような伝統的な尊称だけではイエスの偉大さを表すことができないと考え、「わたしは…である」と言う言葉を使った。例えば「わ

巻頭言「信仰が芽生える場」

 人はどのようにして信仰を持つに至るのでしょうか。宇宙の神秘や自然界の美しさを通してという方もいるでしょう。音楽や文学や美術を通してという方もいるでしょう。いずれも貴い導きですが、より多くの人は次の三つの道を通して信仰に至るのではないでしょうか。第一は聖書を読むことによって、第二はキリスト教の使信を

「キリストの磔刑と復活」

 マティアス・グリューネヴァルトは16世紀の画家です。彼の祭壇画「キリストの磔刑」は聖アントニウス修道院に置かれていました。そこには見るに堪えないほど苦しむキリストの姿が描かれており、側に立つバプテスマのヨハネがキリストを指さして、「見よ、世の罪を取り除く神の子羊」「あの方は栄え、わたしは衰えねばな

巻頭言「主イエスの十字架はわれらの誇り」

 長年病床に臥して女性がありました。動けない彼女が目にできるものは天井板だけ、しかしある時その天井板の古い染みが十字架の形に見えたのです。その時から彼女の心に主イエスのあたたかい愛が注がれてくるような気がしたのです。 O姉のフェイスブックにはこう記されていました。「山の端に大きく枝がクロスした大

祈ってもらいなさい

東京都練馬区で6月、元農林水産事務次官の男性(76)が44歳の長男を刺殺したとして逮捕・起訴されました。その4日前、川崎市多摩区では、スクールバスを待っていた小学生らが刃物を持った男に襲われ、6年生の女児を含む2人が死亡、18人が重軽傷を負いました。元次官の長男も、川崎の事件の犯人とされる自殺した男

ヨハネ・パウロⅡ世ー1981年の平和アピール

戦争は人間のしわざです。戦争は人間の命の破壊です。戦争は死です。この広島の町、この平和記念堂ほど強烈に、この真理を世界に訴えている場所はほかにありません。もはや切っても切れない対をなしている2つの町、日本の2つの町、広島と長崎は、「人間は信じられないほどの破壊ができる」ということの証として、存在する

時代を見抜く鋭い目

1930年代ヒトラーに命がけで抵抗したマルティン・二―メラー牧師の詩です。  ナチが共産主義者を襲ったとき、自分はやや不安になった。  けれども結局自分は共産主義者でなかったので何もしなかった。  それからナチは社会主義者を攻撃した。自分の不安はやや増大した。  けれども依然として自

パンはいくつあるのか

福音書には多くの奇跡物語が記されています。若い頃は奇跡の記事に戸惑いを覚えたものですが、最近では反対に新鮮な興味を覚えるのです。様々な制限に幾重にも拘束されている現代、主イエスの時代に思いを馳せるとかえって解放されのびのびする気がするのです。当時の民衆も同じだったことでしょう。イエスが五千人以上

TOP