「悲しみから喜びへ」
マタイ福音書5章には「山上の説教」といわれる教えがあります。「悲しむ人々は、幸いである。その人たちは慰められる。」ルカ福音書6章にも類似の教えがあります。「今泣いている人々は、幸いである。あなたがたは笑うようになる。」
私たちの日常は決して嬉しいことばかりではありません。時には涙がこぼれてしかたがないような悲しみや苦しみがあります。高橋慶子氏は『悲しんでいい』(NHK出版新書)の中で人生の三分の一は悲しみと共に歩むと言い、悲嘆を引き起こす7つの原因を挙げています。愛する人の喪失、所有物の喪失、環境の喪失、役割の喪失、自尊心の喪失、身体的喪失、社会生活における安全・安心の喪失。東日本大震災は多重の大きな悲しみをもたらした出来事でした。
しかし高橋氏は率直に「悲しんでいい」、その悲しみを越えてやがて新たな存在として立ち直ることを信じてほしいと言われます。主イエスはまさにこの悲しみの中に神の愛と慰めの働きがあると言われるのです。