答:旧約は、神のイスラエル人との契約であります。そのしるしとして、イスラエル人を導く神の救いの歴史を語り、また十戒・法をつたえています。さらに預言やさまざまな文学によって人々が神のことばを聞いて、伝えています。新約は、そのすべての終りとして、またその成就として、イエス・キリストによる新しい契約を証ししています。
「約」は「契約」の意味です。辞書を見ると、①二人以上の当事者の意志表示の合致によって成立する法律行為。②約束を取り交わすこと。③ユダヤ教・キリスト教に特徴的な思想で、救いの思想に関して神と人間との間で交わされた約束。モーセを仲介者としてイスラエル民族に与えられたものを旧約、キリストの十字架上の犠牲を通じてなされたものを新約という、と説明されています。この③の意味です。
しかし旧約にしろ新約にしろ、この契約は神の一方的恵みによるものです。私たちの行いが立派だったから神は契約を結んでくださったのではありません。イスラエルの民は弱く小さく不完全であったにも関わらず神はこれを愛し、救い、祝福の約束を与えてくださったのです。現代に生きる私たちも全く同様です。ですから契約を与えられた私たちには感謝の他ないのです。
契約という時、もう一つ大切なことがあります。それは誠実であるということです。神はご自分が与えた約束に対しどこまでも誠実であられます。問題は私たちの方です。気まぐれではいけません。信仰は気まぐれから最も遠いところにあるものです。恵みの約束に対し誠実でなければなりません。バプテスマを受けてクリスチャンになった人は、生涯かけてキリストに従うのです。時が経てば経つほど恵みの豊かさが分かるようになります。「これを信じる者は、失望することがない」(ローマ9:33)。