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「オリブの若葉」讃美歌にまつわるエピソードその2

父の思い出の讃美歌

讃美歌第二編219番
「さやかに星はきらめき」(O holy night)

キリスト教に興味のない方でもご存じなくらい有名なクリスマスキャロルです。この原稿を書いている今の時期(6月)にはちょっと季節はずれですね。
この讃美歌は亡き父の愛唱歌でした。歌うことも人に聴いてもらうことも大好きな父でしたので、元気なころはいろいろな集まりで歌っていたと聞いています。声量と高音がご自慢でしたから、この曲は格好のレパートリーだったのでしょう。

父が亡くなった年のクリスマス、あるコンサートでこの曲が歌われ、私は涙が止まらなくなりました。父の召天から数カ月がたっていてもう気持ちは落ち着いていたつもりでいたのですが、あとからあとから涙は溢れ、そう簡単に消える悲しみではないのだと思い知りました。真っ赤な目を隠すため、うつむき加減で足早に帰途についたのをよく覚えています。

友達にその話をしましたら「きっとお父さんも一緒に聴いておられたんだよ」と言ってくれたのですが、父があの会場にいたとしたらまず間違いなく、舞台に上ってがんがん歌っていたでしょう。聴くことも好きでしたが、聴かせることのほうがずっと好きみたいでしたから。おとなしく客席にいるわけがない。

時は流れ、今はこの曲を聴いてもさすがに泣くことはなくなりましたが、そのたびに父のことを考えます。多分今ごろは天国で好きなだけ歌っているのでしょう。あちらにおられる兄弟姉妹に迷惑をかけていなければいいのですけれど。

O Holy Night / Luciano Pavarotti
(歌詞は英語とフランス語です)

文書委員会では「オリブの若葉」に掲載する原稿を募集しています。讃美歌にまつわるあなたのエピソードをお待ちししています。
こちらから原稿をお寄せください。募集の締め切りは7月24日です。

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